別法人からの移行

現在、既に株式会社などで運営されている事業をNPO法人に移行する場合、それまでの資金をNPO法人に充てたい場合があると思います。
それ自体は可能ですが、活動予算書の書き方が少し異なります。

申請書類を提出する段階で前法人の清算が結了していない場合は、単に寄付金として計上しても問題ありません。

既に清算が結了している場合は活動予算書の下の方にある設立時正味財産額に計上します。

前法人が申請の時点でどの状況にあるかで判断すれば良いです。

当事務所には既に他の法人形態で事業を開始された方から

「今の事業をNPO法人で続けたい」

というご相談をよく頂きます。NPO法人の主たる活動内容は法律で定められた20種類の活動内容に制限されるため、全てにおいてNPO法人に引き継げるかと言えば無理がありますが、およそ殆どのケースで引き継ぎは出来ております。

既に行っている事業が行政の許可や指定などが必要ない事業内容であれば特段の問題は生じません。

しかし、気を付けなければならないのは介護事業や障がい福祉サービス事業など、既に指定を取られて活動されている場合です。

この場合は指定の取消しと新規での指定申請を行い、その段取りさえ間違えなければ間を空けることなく事業の継続も可能です。ただ、別の問題が生じます。

それは助成金などを受け取っている場合です。

助成金などは基本的にその申請法人に活動内容が適正であることが認められた上で提供されるものです。既に受給が終了している場合は特段の問題はありませんが、問題となるのは継続して受け取ることが出来る助成金のケースです。

NPO法人に法人の種類が変わっても事業内容が変わらなければ問題ないのではないか?と思えますが、話はそう簡単には進みません。

助成金の窓口に対して法人の種類を変えることを知らせずに話を進めると、最悪は助成金の打ち切りなどの目に遭ってしまいます。

実際の例として、営利法人(株式会社や合同会社)から非営利法人(NPO法人や一般社団法人)への移行の場合は、助成金が引き継げるケースもあります。

いずれにせよ、継続性のある助成金を受け取っている場合においてNPO法人などへ法人格を変える場合は、出来る限り早い段階で助成金窓口へ話を出しておくことをお勧め致します。

繰り返しになりますが、NPO法人の設立には時間がかかります。設立の時期などを明確にした上で助成金の窓口に話をする必要がありますのでご注意ください。

こうしたことからも、現在の事業をNPO法人に移行する場合はそのタイミングもしっかりと検討しなくてはなりません。

助成金や補助金などの受給が既に終わっているか、継続して先々も受け取れるものなのか。
そうした事情によりNPO法人設立のタイミングも変わってこようかと思います。