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役員と社員

役員

意外にも、いざNPO法人を設立しようとするときに役員が決まらないことで時間が経過してしまうことがあります。

親族既定があるため最低人数の役員構成で設立する場合に3親等以内の親族を含めることが出来ません。

理事3人以上、監事1人以上が必要になります。知り合いに頼めば大丈夫だろうと思っていても、いざお願いをすると断られてしまうなんてこともよく見受けられます。

役員の方々の住所なども申請書類に記入する必要があるのですが、県外の人が役員になれないなどの規定はございませんので必ずしも近場の人で集める必要はございません。

極端な話、海外に住んでいる人も役員に就任することは可能です。この場合、住所を証明する書類を用意するためには、現地の日本大使館を通じて証明を取る必要があり、面倒ではありますが可能ではあります。

また、既に他の法人(NPO法人以外の法人を含む)の役員に就任している人が役員に就任することも可能です。

例えば、NPOボランティアセンターのサイトにあるNPO法人の検索ツールを使用して、ご自身の活動内容に近い法人さんを捜します。

その法人の代表者にアポイントを取り、直接訪問するなどしてご自身の活動内容を熱意をもって伝えてみてください。

場合によっては役員の就任を引き受けてくれるかもしれません。

また、公務員の方でも役員に就任することは可能です。

この場合は役員報酬を受け取らないなど多少の注意事項は生じますが、NPO法人の役員に就任することに問題はありません。

学校の先生なども意外に多くの方がNPO法人の理事として活躍されています。

同窓会の時などにお世話になった先生に相談してみるのも良いかもしれませんね。

それでも役員がどうしても揃わない場合に一般社団法人を選ぶという選択肢もあります。

一般社団法人では1人役員での運営が可能ですので、複数の役員をそろえる必要がありません。仮に複数の役員を設置する場合でも親族既定などはありませんので、身内で役員を揃えることも可能です。

NPO法人の設立をご検討されている方は事前に役員を誰にするのかを早い段階で決めることをお勧めします。

ここが決まらないと手続きが進みませんので十分にお気を付け下さい。

  • 理事
    理事はNPO法人の運営について重要な事項の決定や法人運営のかじ取りを行う人の事を言います。
    株式会社で言う取締役として考えると分かりやすいのではないでしょうか。
  • 監事
    法人の活動内容だけでなく、理事が法人運営を適正に行っているかどうかをチェックする人を言います。
    株式会社で言う監査役と同じ立ち位置になります。法人の財産状況についても監査する役割を担っており、法人のお目付け役、といったイメージです。

上記したようにNPO法人には必ず「監事」の設置が義務付けられています。これは株式会社には無い制度です。

株式会社は株式を公開する場合や大会社(委員会設置会社を除く)の場合に監査役の設置を義務付けています。つまり、極端に言えば世の中の90%以上を占める中小の株式会社においては監査役の設置は求められていません。

取締役会を置いた場合でも監査役ではなく会計参与を置けば良いとされているため(公開会社でない場合)、これらの点を考えるとNPO法人の方が非常に厳しい設立要件を課されているということが言えます。

社員

こちらもよく混乱されがちですが、NPO法人で言うところの「社員」とは一般の会社における従業員とは異なります。

社員は総会で議決権を有する者を指します。仮に役員4人が既に決まっている場合、役員と社員の兼任は認められているため残り6名の社員を集めれば良いことになります。

社員は役員と異なり、親族既定もありません。よって、代表者の親族で社員を構成することも可能です。

また、社員は法人の事業に直接携わるメンバーではないため、他県の住所であってもそれほど問題にはなりません。総会を書面決議によることも可能ですので、遠方の社員であってもその役割は果たせます。

最低でも10名を確保できれば良いのですが、逆に10人以上が社員として登録されてあっても何ら問題はありません。

申請書類の中に社員名簿には各社員の氏名及び住所を記載します。ここに記載する住所は普段使用している住所を書けば大丈夫です。住民票なども必要はなく、連絡先の記載も必要ありません。

冒頭に記載した通り、社員はあくまでも総会における議決権を有するものであり、役員のような法人の責任を負うような立場ではありません。どうしても「社員」という呼び名が影響するようで、親族以外の方に「社員になりませんか?」と声掛けしても断られるケースもあるようです。

その場合はこちらに記載した内容を丁寧に説明することで不安も解消するかと思われます。

社員の人数は10名以上であれば制限はありません。多い法人では100人以上の社員が存在するNPO法人も存在します。