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スポーツクラブ(チーム)をNPO法人化

野球・サッカー・水泳・卓球・マラソン・ラグビー・バレー・カヌー等々、地域でスポーツクラブを運営されている方は非常に多くいらっしゃると思います。

皆様の活動はしっかりと地域に根差した活動となっており、保護者の協力は勿論、町ぐるみで行っているクラブもあれば協賛企業なども存在するクラブも存在します。

私はこういったスポーツクラブこそNPO法人化するべきだと以前より考えております。

運営者の方は次のように感じたことはありませんか?

  • クラブの運営をいつまで続けられるだろうか
  • 高額な備品を購入する際はいつも誰かの個人名義だ
  • レンタカーで車を借りるのも個人名義だ
  • あと少し、費用的な余裕があれば良いのだが…
  • 有能な指導者を育成したい
  • 融資などを利用したいが個人では利用が出来ない…

など、クラブを運営する上で一度は感じだ事があるのではないでしょうか。

結論を言えば上記した点は個人で運営している以上、解決することは非常に難しいと言えます。

そこでご提案したいのがクラブのNPO法人化です。

NPO法人化することで問題を解決

スポーツクラブ(チーム)をNPO法人で運営すると問題点が一つずつ解決できます。

クラブを永続させることが出来る

NPO法人には理事が最低でも3人、監事が1人必要になります。

つまり、これまで個人で運営していた場合と異なり、運営に携わる(携わらなくてはならない)人が増えます。

勿論、誰を役員にするかで頭を悩ませるケースもあると思いますが心配は要りません。

現時点でも運営は御自身だけで行っているケースは稀だと思います。日ごろからクラブの運営に協力してくれている人が居る筈です。

そういった方々にクラブの未来を話すことできっと協力が得れると思います。

もし、ご自身が病気や怪我で長期間クラブを離れなくてはならない、最悪のケースとして運営に携わることが出来なくなったりする事態が突然やってくるかもしれません。

個人で運営している場合、上記のようなことが起こればクラブの運営は間違いなくストップしてしまいます。

仮にこれまで一緒に手伝ってくれてた人が後を引き継いだとしても、ご自身の想いとは別の方向にクラブが向かってしまうかもしれません。

NPO法人で運営をするとなれば、日ごろから役員同士でクラブの運営方法等をしっかりと決めて、個人の考えではなく、法人の考えとして定款などに盛り込むことも可能です。

万が一、これまで運営に携わってきたあなた自身がクラブを離れることとなっても、クラブはNPO法人の運営方法に従って継続されていきます。

クラブの利用者を困らせることにもなりません。

NPO法人を設立することで運営の主体が個人から法人に変わります。

個人の個別の事情とは無関係に法人としてクラブを永続させることが出来るのです。

法人名義で契約が出来る

例えば何かを買う・借りる・ローンを組む、といった場合に個人運営の場合は皆さんの個人名義で行っていることと思います。

金額が小さな買い物であればまだしも、備品購入の際に数十万円単位のローン契約などを個人名義でされているのではないでしょうか?

私が過去に設立をお手伝いしたクラブでは持ち回りでローン契約を組んでいたケースもありました。

これは非常にリスクがあります。

言葉は悪いですが、備品などを購入する場合のメリットは皆で共有するが金銭支払いのリスクは一人の個人が負う、という良くない形と言えます。

勿論、支払いに要する金銭は部費や会費などで集めたものから支払うのでしょうから払うものを払いさえすれば良いのかもしれません。

しかし、やはり「形式」として個人が大きなリスクを負うことはクラブの運営上、良くないと言えます。

NPO法人を設立すればそれらの名義は全て法人の名義として扱われ、役員などの個人が責任を負う必要はありません(背任などの例外はあり)。

法人を設立したからと言って、どんな高額なローン契約でも組める訳ではありませんが、契約の主体を法人にすることで余計なリスクを回避でき、また、契約をする相手側にとっても安心が出来ることに繋がります。

法人名義の口座が持てる

これは上記した「法人名義で契約が出来る」ことと繋がっていますが、更に言えば「信用」を得ることにも大きな役割を果たします。

個人で運営している以上、資金管理などは全て個人名義の口座で行う形となります。

これでは、集めた部費や会費が一度でも個人名義の口座に入ることで悪く言えば使途がよく分からなくもなる、と言えます。

例えば、部員を集めたい時やクラブの協賛や寄付を募りたい場合を考えてみましょう。

あなたの所に寄付のお願いをしにきたクラブチームがあるとします。

運営内容や方針など、あなた自身の考えにそった活動をしており、「寄付しても良いかな」と思えたとします。

しかし、寄付する先が個人が運営するクラブなのかNPO法人が運営するクラブなのかで最終的な判断材料になりませんでしょうか?

相手が個人では「何に使われるか分からない」と思う人もきっと居る筈です。NPO法人は他の営利法人(株式会社等)と比べても事業の透明性が抜きんでています。

それは毎年のように事業報告を公開するからです。

また、地元企業に協賛をお願いする場合でも個人でお願いをする場合とNPO法人としてお願いをする場合でもその差は歴然としています。

NPO法人を設立することで法人名義の口座が持てる。これは大きな信用を得るために絶対的に必要なことであると言えます。

個人と法人の口座を分けるだけで得られる信用は計り知れないものがあります。この点は十分に頭に入れて頂ければと思います。

運営費用を集めやすい

上記した内容の続きです。

先ほども触れたように寄付を募る場合にNPO法人であればお願いもしやすくなります。

場合によっては寄付する側にもNPO法人に寄付をすることでメリットが生じるケースもあります。

個人では出来ないことは他にもあります。

例えば日本政策金融公庫などの低利な借り入れも可能となります。

個人名義でクラブチームの運営のために資金を貸し付けてくれるような良心的な金融機関は残念ながら存在しません。

しかし、ここ数年で見てもNPO法人に対する日本政策金融公庫の貸付割合は大きく伸びています。この傾向は今後も続いていくでしょう。

借り入れに頼らない運営が大切なことは当たり前です。しかし、法人として先々の運営のために借り入れることが必要な時が来るかもしれません。

もしもの時に借りやすい、借りれる金融機関の存在があればそれだけでも心に余裕が持てるのではないでしょうか?

個人では絶対に無理な話です。この点においてもスポーツクラブをNPO法人化するメリットがあると言えます。

また、市や県などの自治体の仕事を請け負って収益とすることも可能です。これも法人ならではの運営費用の集め方と言えます。

指導者の育成

クラブの今後のためにも指導者の育成は重要課題だと言えます。

指導者を自身のクラブで一から育てる、あるいは他から著名な指導者に来ていただく、といった事が必要となってきます。

クラブで一から育てる場合、理想は給与を支払いながら育てていくのが良いのではないでしょうか。

それには当然、収益が必要になってきます。部費や会費だけでは到底賄うことは出来ません。

しかし、NPO法人であれば寄付や協賛を得る、自治体の仕事を受注する、本来事業とは別の「その他の事業」を行って利益を上げる事も可能です。

法人を設立してすぐに利益を上げることは難しいと言えます。

しかし、法人の運営としての広報活動をしっかりと行い、営業活動をしていけば利益をあげていくことは可能です。

利益があがるようになれば費用を払って有能な指導者を外部から呼び寄せることも可能です。

また、運営主体がNPO法人だから、という理由だけで指導者自らボランティアのような形で参加してくれるようなケースも多くあります。

総合型地域スポーツクラブへの可能性

総合型地域スポーツクラブとは多様な種類のスポーツに年齢を問わず、誰もが参加できるスポーツクラブのことです。

福岡県内には既に80以上のクラブが存在しています。(総合型地域スポーツクラブの詳細は別の項で説明いたします。)

総合型地域スポーツクラブの設立はNPO法人の設立が先でも後でも良く、現段階の活動内容に沿って順番を決めれば良いと思います。

総合型地域スポーツクラブとしての活動が認められると、スポーツ振興助成が利用することが出来るようになり、グラウンドの芝生化やバスの購入費用、専用グラウンドの施工代金まで助成される可能性もあります。

NPO法人化することのメリット

これまで見てきたように、現在の活動をNPO法人として運営していくことには色々なメリットがあり、様々な可能性が生まれます。

とは言え、少なからずデメリットもあります(「NPO法人のデメリット」の項をご参照ください)。

しかし、そのデメリットを考えても受けれるメリットの方が大きいのではないでしょうか?

地域でスポーツクラブ(チーム)を運営されている方々の殆どは「スポーツが好き」「子供が好き」「地域のため」といったような理由で活動されていることと思います。

それは正にNPO法人の理念とマッチします。だからこそ、NPO法人を設立するメリットも沢山あります。

法人として利益があがれば給与をスタッフに支払うことも可能となります。

有能なスタッフの確保、現在はボランティアとして運営を助けてくれている方々に少しでも給与という形で利益を提供出来ればこれ以上の事は無いのではないでしょうか。

運営しているクラブの将来をお考えの方はNPO法人での運営を検討されてみてはいかがでしょうか。

また、同様のことは一般社団法人を設立することでも可能です。

NPO法人と違い、色々な取り決めが出来る自由度がある非営利法人として設立件数も増えております。

一般社団法人についても検討してみたい方はこちらをご覧ください。