NPO法人の解散

NPO法人の活動が停止しており、毎事業年度ごとの事業報告書の提出も怠っているようなケースが多く見られます。

NPO法人の役員は任期が2年(監事4年)とされていますが、仮に役員に変更がない場合でも改めて登記する必要があります。

注意:
法人設立後、一度も役員の登記をしていない法人が多く見られます。「いや、うちは事業報告の際にちゃんと届出ているよ」と安心される方も多いですが、所轄庁への届出と法務局に行う登記は全く別物です。

「所轄庁へ届出ている」と安心している法人の殆どが登記していない状態にあります。この場合、行うべき役員変更登記を行わないと以下に記載する解散登記は行うことが出来ません。

役員の登記を怠っている場合は、過去分の役員変更登記と解散登記、清算人登記を同時に行う形を取ります。詳細はお問合せ下さい。

こうした義務付けられた手続きを行わない場合、過料の制裁が控えておりますのでくれぐれもご注意ください。

登記後、裁判所から過料の通知が代表者の住所に届くケースも散見されており、登記していない期間が長ければ長いほど高額になります。

だからと言ってこのまま放置しておけば過料の額はどんどん多くなります。

また、事業報告書の提出などを怠り、是正命令が認証局から入ったにも関わらずそれも無視していると、市長や知事権限で罰則が科せられることもあります。

こうしたことから、NPO法人として活動していない場合は解散を視野に入れるべきと言えます。

NPO法人を譲渡するという発想

NPO法人を誰かに譲る(売却する)という方法はありえます。当然のことながら譲り受ける人がいればの話ですが、NPO法人は設立手続きが非常に面倒なため、探せば「譲り受けたい」という人はいるかも知れません。

ただ、個人的な見解としてNPO法人を見ず知らずの人間に譲り渡すことは止めた方が良いと思います。

NPO法人に限った話ではありませんが、法人の登記簿(履歴事項全部証明書)はだれでもどこでも法務局で取得することが可能です。

登記簿には法人の住所や代表者の名前、代表者の住所などが掲載されています。
この点はNPO法人に特別な部分は無いのですが、問題はNPO法人の場合はネットで法人名を検索すると代表者の氏名や定款等が簡単にヒットするという点です。

理由は内閣府が運営するNPOポータルサイトにてこうした情報が掲載されているからです。

内閣府だけではなく、所轄庁毎の運営サイトに検索でヒットする場合もあります。
では、なぜこれが良くないのかと言うと、何か問題が生じた時にだれでも簡単に法人の事が調べられる、調べるきっかけとなる情報を得やすい、ということがあるからです。

例えば、NPO法人を誰かに譲ったとしましょう。譲った後でその法人が何かのトラブルを起こしたとします。

そのことを知った誰かがスマホやPCを使って法人名を検索したとき、上記したサイト情報が最新のものに更新されていないとどうなるでしょうか。

もちろん、過去の代表者の名前が出てきます。仮に情報が更新されていたとしても法人の情報は簡単に得られますので、登記簿等を取得して過去の代表者等を調べるのは容易になります。

もちろん、上記したように株式会社や合同会社、一般社団法人等においても登記簿を取得すれば同様の情報は得られるのでNPO法人だけの話ではありません。

しかし、ネットで簡単にその時点の情報を得られるのはNPO法人特有の事情とも言えますのでリスクであることに変わりは無いと言えます。

そして、この話は逆のパターンもあり得る話です。譲り渡した人がその後に何かのトラブルをおこし、トラブルをおこしたその個人名をネットで検索すると上記したサイトにてヒットし、譲り受けた側(法人)が迷惑を被るという話を実際に私が見ています。

こうしたことから安易に法人を譲り渡すようなことは止めた方が良いと言えます。法人を譲り渡すようなことになれば、これまでの報告書類関係(役員名簿や社員名簿、事業報告書等)も引き渡すことになると思います。

個人情報を漏らさないように、と約束してもその約束が守られるような保証はどこにもありません。

活動をしていないようなNPO法人は設立当初から代表者だけが動いており、その他の役員や社員は名前だけのケースが殆どでしょう。

そのような状況で第三者に法人を引き渡すということは考えただけでも少し怖いなと思います。この辺の捉え方は個人差があると思いますが、よくよく考えて行動して頂ければと思います。

ここまで色々な事を書きましたが法人は法人であること自体に色々な義務が課せられていますので、放置していても良いことは一つもありません。

解散手続きは設立の手続きに比べるとそこまで難しいものではないため、活動してない場合は早期に解散(清算)することをお勧めします。

以下、簡単に解散から清算までの流れを記載します。

社員総会での解散決議

解散のパターンは幾つかありますが、殆どのケースが社員総会で解散決議を取る流れです。

原則は総社員の4分の3以上の議決が必要となりますが、法人として活動していない以上は異を唱える社員も居ないと思われますので、決議はスムーズに行えると考えられます。

解散登記及び清算人の就任登記

社員総会で解散の決議を取り、議事録を作成しましたら法務局にて解散登記を申請します。

この時、清算人の登記も同時に行います。

清算人は一人いれば大丈夫ですので、法人の代表者などが就任すれば後の手続きもスムーズに行えます。

登録免許税は不要のため、ご自身で手続きをされる場合に費用は発送しません。

解散の登記を行うと、その法人は清算法人として位置づけられます。

清算法人とは簡単に言うと、残債務の処理など、法人の消滅(清算)に向けてのみ活動をしうる状態の法人を指します。

注意事項として、解散の登記を行う際に、法人の印鑑を届け出る必要があるという点です。

清算法人として印鑑を届け出る必要がありますが、これまで使用していた法人実印と同じ物を使用する形で問題ありません。

実印の届け出には(代表)清算人個人の印鑑登録証明書が必要になります。

官報公告

解散することを周知するために官報にその旨を掲載する必要があります。

これは、法人に対する債権者に解散することを通知する意味合いがあり、官報公告を省略することはできません。

また、掲載期間は2か月以上とされているため、実際に法人を消滅させるのには2か月以上の時間を要することになります。

掲載費用は凡そ3万円程度見ておけば良いと言えます。

注意

平成28年4月1日より官報の公告掲載料金が値上がりします。このため、費用は35,000円~40,000円程度見ておいた方が良いと言えます。

解散届出書の作成及び提出

認証窓口へ解散届出書を提出します。

使用する印鑑は法人実印ではなく、(代表)清算人個人の印鑑(認め印)になります。

書類の内容は難しいものではないため、すぐに作成できます。

清算決了登記

官報公告より2か月が経過し、残債務の処理など必要な手続きが終われば、法務局へ清算結了登記を申請します。

この際の登録免許税も非課税となっていますので、費用は発生しません。

清算決了届出書の作成及び提出

清算結了届出書を認証窓口へ提出します。

これにより、NPO法人が消滅する形となります。

無用な費用を避けるために

冒頭でも触れたように、必要な手続きを放置することで過料などの余計な費用が発生する可能性があります。

他の法人格と比較しても、NPO法人には事業報告書の提出や資産の変更登記など義務付けられている項目が多いため、いざ過料などが発生すると思った以上の金額になるケースもあります。

弊所は司法書士と行政書士の資格を有しているため、法務局に対する解散登記や清算決了登記、認証窓口に対する解散届出書や清算決了届出書の提出も一手にお引き受けすることが可能です。

お困りの方は遠慮なくお問い合わせください。