任意団体からの移行

既に任意団体として活動を行っている場合、その活動をNPO法人で行っていきたいという方も多く見られます。

この場合、現在の団体を組織変更してNPO法人に切り替えるようなことは出来ません。

あくまでも、新規にNPO法人を設立して、これまでの任意団体から人・物・金を移動させる、という考え方になります。

つまり、NPO法人設立後に任意団体は「解散」させる、という流れになります。

注意すべき点

これは活動内容にもよりますが、NPO法人を設立して活動を行った後にトラブルに発展するケースがあります。

例えば、これまでは任意団体が行う活動の「利用者」であった人達との間でトラブルになるケースです。

団体から見れば「利用者」であったとしても、その利用者は団体の活動に色々と貢献をしてきて、団体を「一緒に運営してきた」と思っている人が必ずいます。

ところが、NPO法人を設立した際にその「利用者」を社員として迎えるのか、単なる「利用者」として位置づけるのかでトラブルになる訳です。

社員であれば総会の議決権もあるため、まさにNPO法人の運営に関わっていると言えるでしょう。

しかし、これがいち「利用者」という位置付けであれば運営に携わることは出来ません。

こうしたことが原因でトラブルになっているケースが増えてきていることは認証窓口も把握しています。

設立するNPO法人の活動内容によっては、これまでの「利用者」の位置付けをどうするのか(どう考えているのか)を文書にして提出させるケースも出てきています。

トラブルを避けるために

せっかくNPO法人を設立したにも関わらず、設立直後からこうしたトラブルが生じることは絶対に避けなくてはなりません。

では、トラブルに発展しないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。

それは、「事前に話し合う」ことしか方法はありません。

よく「創立(設立)総会の時に審議すれば良いのでは?」

と考えている方もいらっしゃいますが、非常に危険です。

創立(設立)総会で初めて知らされる方々の中には

「勝手に話を進めている!」

とそれだけで不信感を抱き、総会どころではなくなってしまいます。

こうなると、NPO法人設立に向けた計画が頓挫してしまう可能性も出てきます。

そういった事態を避けるためにも、NPO法人を設立する計画段階でまずは団体の方向性などを話し合われることをお勧めします。

これまでの団体運営を行ってくる中で、個人名義で契約を結んだり借り入れをしたりなど色々な苦労があって法人化を決意されるケースもあると思います。

「利用者」の中にはそういった部分の苦労やリスクを知らない人が居てもおかしくはありません。

NPO法人としてどうやって活動していきたいか、また、団体の活動を永続させていくためにNPO法人化する理由などを丁寧に説明することが大切です。

現在の団体運営に「少しでも」関わっている人たちの事をまずは考えて行動すれば、そういったトラブルは避けられると思います。